カメラがどのようにして広いシーン内の特定の領域をスムーズに撮影できるか考えたことがありますか?ロボットはどのようにして、ゴミを運ぶベルトコンベア上の大量のゴミから特定の物体を選別できるのでしょうか?これらのタスクは通常、システム内の特定のハードウェアリソース上で稼働するソフトウェアで実行されます。
オンセミの イメージセンサに搭載されたSmartROI(Smart Region of Interest)機能により、ユーザーやマシンビジョンシステムは、最も注意や分析が必要な特定の領域に素早く集中することができます。これにより、産業プロセスの最適化、より正確な診断、迅速な意思決定が可能になります。このブログでは、オンセミの SmartROI機能とマシンビジョンにおける利点、そしてSmartROI機能を統合した、受賞歴を持つAR2020 20MPイメージセンサをご紹介します。
重要である理由
オンセミのSmartROI機能付きイメージセンサは、各フレームでシーン内の複数の領域をキャプチャできます。1回のキャプチャプロセスで、必要なすべてのデータ(1つは帯域幅を抑えた画像、もう1つはオリジナル解像度で明瞭さを重視した画像)を取得できます。
この機能がない場合、ビジョンシステムは露光/キャプチャシーケンスを2回実行する必要があります。これにより、ビジョンシステムに以下のような複数の欠陥が生じます。
- 動作速度の低下(個別シーンのキャプチャ)
- イベント発生時における重要情報の欠落
- イベント発生時におけるコンテキストの喪失(オリジナルシーンの変更による)
これらの欠陥は深刻な影響を及ぼします。監視アプリケーションでは、シーンの完全な情報を提供するために、低解像度であってもシーン全体を映し出し、ドアの入り口やロックに焦点を合わせた領域をオリジナルの解像度で、細部まで鮮明に撮影することが理想的です。オペレータがこの目的を2つのフレームで達成しなければならない場合、この2つのフレームのキャプチャ間の遅延により、監視動作全体が非効率になり、イベントやコンテキストを見逃す可能性があります。
SmartROIを使用する場所
マシンビジョンカメラは一般に、工場自動化に導入されます。これらは高スループット環境で動作し、動作遅延をなくすことでコストを削減します。SmartROI機能は1つのフレームで複数領域の画像を提供することによって、それを可能にします。
マシンビジョンカメラには一般的に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が組み込まれており、AI/MLによって動作が強化されています。低帯域幅でのシーンのコンテキストと事前に設定された領域の詳細な画像を同時に利用できるため、SmartROI機能を備えたセンサを搭載したカメラは、素早く学習させることができ、シーンを迅速に推測できます。これにより、重大な遅延が低減され、ビジョンシステムのスループットと全体的な効率が向上します。
この機能は、以下に示すような複数のアプリケーションで利用できます。
工場自動化 - パッケージのスキャニング
最近まで、パッケージのスキャニングは、箱に刻印または貼付されたバーコードだけをスキャンするものでした。これらのパッケージには、バーコードだけでなく、それよりはるかに多くの情報も含まれるようになりました。例えば、製品の詳細、会社の住所、電話番号、原産国、バッチおよび製造情報などです。ただし、これらの情報は必ずしも一度に全部が必要になるとは限りません。SmartROI を使用すると、関心のある領域だけに的を絞ることができます。
工場自動化 - 検査および品質管理(IQC)
一般的に、スキャンされる物体には特に焦点を絞る必要がある重要な領域(例:ボトルのキャップ)があり、他の領域(例:貼付または印刷されたブランドラベル)の情報により、必要なコンテキストがわかります。SmartROIでは、適切に閉栓するためにボトルキャップの要所に焦点を合わせながら、低解像度でボトル全体のスキャン画像を取得できます。
ビデオ会議(VC) - フレーミング
今日のVCシステムは、参加者全員が強い没入感を体験することを目指しています。エンドポイントは、VCバーでも360度ビューのテーブルトップシステムでも、参加者全員を巻き込んで、自然で本質的な対面交流を促進します。SmartROIは行動が起こる領域を特定して、もとからある状況の細部や会議全体の環境と併せて、その行動に関与する人物に対する幅広い視野を提供するのに役立ちます。
AR/VRとゲーム
これらのアプリケーションでは、ユーザーが特定の領域を中心とした行動に集中している間、周囲の状況を完全に把握することが求められます。SmartROIは、これらの領域をもとからある状況の細部まで再現しながら、シーンの残りの部分を狭い帯域幅で提供します。
ロボティクス
ビジョンガイド付き多関節ロボットは、特定のタスクを実行するために導入されます。これらのデバイスは通常、機械学習アルゴリズムによって稼働し、タスクに関連する特定の領域にローカライズする場合でも、動作を実行するシーンの知識を持つことによって大きなメリットが得られます。ピックアンドプレース動作では、複数の対象物の中から特定の物体に的を絞るタスクが伴うことがあり、ロボットのタスクは特定の対象物をピックアップすることです。繰り返しますが、SmartROIはこれらのタスクを非常に効率良く行うのに便利です。
オンセミ はセンシング分野の技術をリードしており、長年にわたりビジョンシステムソリューションに多大な革新をもたらしてきました。新しいHyperlux™ LP イメージセンサ製品ファミリには、最終製品に全体的に高い価値をもたらす多くの機能を内蔵しています。ビジョンシステム設計者は、自社製品を差別化し、前述した多種多様なアプリケーションに高効率で対応することができます。
SmartROIおよびAR2020イメージセンサの詳細をご覧ください。
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