数年前までは、設計者は基本的なデータシートとトレーニング/ 知識を頼りに部品を選択し、設計に組み込んでいました。最近では、多くの半導体企業が、複雑な設計を短期間で市場に投入しなければならないという設計者へのプレッシャーを認識し、設計支援ツールの完全なエコシステムを提供しています。関連するテクノロジやメーカーによっては、評価ボード/キット、SPICEモデルとシミュレーションツール、リファレンスデザイン、セレクションガイド、アプリケーションノート、その他の貴重な資料が含まれることがあります。
もちろん、新しいテクノロジが成熟し、それらのサポートエコシステムが拡大するまでには時間がかかります。多くの人は、今もなおシリコンカーバイド(SiC)を「新しい」技術と考えていますが、これはおそらく再生可能エネルギーや電気自動車などの高電力変換アプリケーションに広く使用されているためであり、利用できるサポートエコシステムはほとんどないと思い込んでいます。
SiC製品ポートフォリオ
どのエコシステムも、利用可能な製品ポートフォリオから始まります。多くの人は、SiCの場合には限られた範囲のMOSFETとダイオードに限定されると考えています。オンセミ(onsemi)のEliteSiC製品ラインにざっと目を通すと、動作電圧が最大1,700Vの各種ダイオードが120種類以上あります。また、100種類以上の650V、900V、1,200V SiC MOSFET、そして30種類以上のオンセミ独自のSiC MOSFETおよびダイオードをベースにしたパワー統合モジュール(PIM)があります。この製品ラインを完璧なものにするのは、非常に重要なゲートドライバなどの他のデバイスであり、例えばSiCデバイスの適切な動作と最高の性能を保証するNCP51705などが挙げられます。
図1:オンセミEliteSiC製品
設計とシミュレーション
最近では、最初にSPICEモデルを使用したコンピュータベースのシミュレーションを実行し回路動作を適正に推定することなく、ハードウェアを構築することはほとんどありません。これをサポートするために、オンセミは、 SiCデバイス用のフィジカルベースかつスケーラブルなSPICEモデル、そして市場をリードするEliteSiCデバイスで正確な結果を提供するEliteパワーシミュレータも提供しています。
オンセミのフィジカルかつスケーラブルなSPICEモデルは、PSpice、LTspice、Simetrix、Spectre、ADS、SABER、Simplorerなど、すべての主要な業界プラットフォームでサポートされています。
さらなるサポートとして、オンセミはシステムレベルシミュレーション用のPLECSモデルジェネレータを開発しました。ハードスイッチングにしか適さない多くのPLECSモデルとは異なり、オンセミのセルフサービスPLECSモデルジェネレータはカスタムのハイファイPLECSモデルを作成できます。これらのモデルは、DC-DC、LLCおよびCLLC共振、デュアルアクティブブリッジ、フェーズシフトフルブリッジ(PSFB)などのソフトスイッチングアプリケーションにも同様に適しています。
図2:EliteパワーシミュレータとセルフサービスPLECSモデルジェネレータの選択方法
材料とサプライチェーン
SiCデバイスの製造は、特に信頼性問題を回避するために、プロセス制御を十分に維持するうえで困難を伴う場合があります。これは広範なウェハおよび製品の認定、故障モードの十分な理解と効果的な故障解析技術および是正処置プログラムの組み合わせによってのみ回避できます。
オンセミは、厳密な設計方法論、厳格な生産モニタリング、製造管理、適切なスクリーニング、および強固な認定の組み合わせに基づいて、市場リリース前に自社のSiC製品を評価するために、包括的かつ機能横断的な方法論を開発しました。
自動車や再生可能エネルギーなど、SiCテクノロジを利用する主要アプリケーションの成長に伴い、製品の入手可能性が懸念されます。このような懸念は、SiC製品は製造が困難で、生産能力が限られているという誤解に基づいているようです。この問題の1つは、多段階プロセスが異なる企業間に分割される場合が多いことです。オンセミは、エンドツーエンドの供給能力を備えたSiCおよびソリューションの大規模サプライヤです。
これはニューハンプシャー州内の工場で、SiC単結晶材料を成長させてウェハ基板を製造することからスタートし、エピ層の薄膜成長、続いていくつかのデバイス処理工程を経て、製品をパッケージする最終段階に至ります。オンセミの製造プロセス全体はエンドツーエンドで垂直統合されており、各工程で徹底的な信頼性試験および品質試験を実施して、ほぼゼロの欠陥を保証しています。
図3:オンセミのエンドツーエンドのサプライチェーン
オンセミの垂直統合型サプライチェーンは、拡張性、優れた品質、製造コスト管理など、いくつかの利点をもたらします。そのうえ、エピタキシャル成長の前後に行われる欠陥スキャンによって、さらなる品質保証が提供されます。また、垂直統合は、バリューチェーンの各段階でステータス情報を迅速にフィードバックすることにより、生産量を迅速に拡大し、プロセスを最適化することにも役立ちます。
EliteSiCシミュレーションツールの詳細については、こちらのブログをお読みください。