January 07, 2025

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EEPROM(電気的に消去・書き込み可能な読み出し専用メモリ)は、電源がなくてもデータを保持でき電子的に再プログラム可能なため、幅広いアプリケーションで使用される不揮発性メモリチップです。多くの場合、デバイスの動作に不可欠な情報、例えば、時々更新される可能性のある情報などを保存するのに使用されます。

これには、システム自体のファームウェアや構成データ、あるいはユーザー設定やユーザープリファレンスが含まれます。

RAMやフラッシュメモリの代わりにEEPROMを使用すると、データの保持にコイン電池やスタンバイ電圧レールが不要になります。

EEPROMは不揮発性データを安全に保持できるため、あらゆるアプリケーション分野で利用されます。組み込みシステム、家電、自動車、産業、医療、エネルギーなど、多くの分野で幅広く使用されています。

オンセミは不揮発性メモリ、特に過酷な環境での課題の多いアプリケーション向けデバイスで重要な役割を果たしています。実際のところ、オンセミはこの分野で30年以上の経験を持つ、世界トップ3のEEPROMサプライヤの1社です。

オンセミはリーダーシップを維持するために、EEPROMポートフォリオで常に新しいデバイスを開発し、連携して動作するマイクロプロセッサーとの適合性を確保しています。

インタフェースの動作電圧が重要なことは明白であり、回路内のどこかで電圧が低下した場合、EEPROMはこれらの変化を反映する必要があります。


システム互換性

例えば、オンセミの最新のN24C256X EEPROMは、シリアル・データ・ライン(SDA)とシリアル・クロック・ライン(SCL)が1.2Vで動作するように設計されたI2Cインタフェースを備えている点がユニークです。この機能は最新の低消費電力アプリケーションにとって不可欠であり、電力効率、互換性、パフォーマンスにおいて複数の利点を提供します。


エネルギー効率

エネルギー効率は、ほぼすべての最新設計、特に小型バッテリーやエネルギーハーベスティングから電力が供給される設計における重要な要素です。N24C256X EEPROMは低電圧で動作できるため、デバイスの全体的な消費電力が低減されます。スタンバイモードでは、このデバイスの消費電流は全Vcc電圧範囲および全温度範囲において2mA以下です。

図1:N24C256Xの1.2V I2Cラインでの最新マイクロプロセッサーとの連携

N24C256Xが登場するまでは、従来のEEPROMを最先端の1.2Vマイクロプロセッサーと連携して動作させるには、電圧レベルシフターの形で追加回路を導入する必要がありました。


シグナル・インテグリティ

どのシステムでもシグナル・インテグリティが問題です。EEPROMを使用する場合、ノイズでデータが破壊され、破壊されたデータをリードバックするとシステムが誤動作する可能性があるため、この問題はさらに重要になります。

最新の高密度設計では、供給ラインからのノイズだけでなく、隣接する信号ライン間での大きな電磁干渉(EMI)やクロストークが発生する可能性があります。しかし、電圧レベルを下げると、ノイズがシグナル・インテグリティに影響を与える可能性を低減できます。したがって、N24C256Xのシグナル・インテグリティは、より高い電圧で動作する他のEEPROMよりも良好なものになります。


コスト効率

N24C256Xは低電圧システムと直接互換性があるため、回路内に電圧レギュレータやレベルシフターを含める必要はありません。これらのデバイスは100%の効率は達成できないので、除去するとシステムの全体的な効率が向上します。また、よりコンパクトなフットプリントと部品表(BOM)の削減が可能になり、最終的に低コストのソリューションを実現できます。


N24C256Xの詳細

N24C256Xは256 kbのシリアルCMOS EEPROMで、内部は各8ビットの32,768ワードとして構成され、64バイトのページ書き込みバッファを備えています。1.7V~5.5Vの範囲の任意の電源レールで動作でき、幅広いアプリケーションとの互換性を提供します。

I2Cインタフェース内のSCLラインとSDAラインは1.2Vを基準にしています。また、両ラインとも内蔵のシュミットトリガーやノイズ抑制フィルターの効果を享受しており、EEPROMとの間で転送されるすべてのデータに対して、高レベルのシグナル・インテグリティを確保します。

Standard-mode(100 kHz)、Fast-mode(400 kHz)、およびFast-mode Plus(1 MHz)の3つのI2Cモードがサポートされています。

ユーザーがプログラム可能な恒久的な書き込み保護により、メモリアレイのハードウェア保護が提供されます。

信頼性は非常に重要であり、N24C256Xは定格プログラム/消去サイクルが100万回で規定されており、100年間のデータ保持が可能です。

N24C256Xは過酷な産業環境での使用が想定され、温度範囲は通常の産業用範囲を超えて拡張されており、-40℃~+125℃の周囲温度範囲での動作が可能です。


結論

EEPROMは多くの電子システムに不可欠な部分であり、ファームウェア、構成、ユーザー設定などの重要なデータを、電源がない状態でも保存できます。

新登場のN24C256Xはユニークな1.2V I2Cバスインタフェースを備えており、最新のマイクロプロセッサー電圧との直接的な互換性を実現しています。これにより、部品点数が削減されてスペース要件が緩和されるだけでなく、エネルギー消費も減少し、ノイズがシグナル・インテグリティに影響を与える可能性が低下します。

N24C256Xの詳細はこちら