ダッシュボードカメラ(ダッシュカム)は、交通安全を推進する上で欠かせないツールになりました。ダッシュカムは、日常的な通勤から高速での事故まで、あらゆる状況を継続的に記録することで、運転者の説明責任を追及し、危険運転に対する的確な判断を下すことによって、道路の安全性向上に貢献します。ダッシュカムは簡単に設置できることやその他の利点により、道路利用者の間で普及が進んでいます。
新しいタイプのアフターマーケットカメラも、商用車の車両安全性の向上に役立っています。例えば、ドライバ・モニタリング・システム(DMS)や同乗者モニタリングシステム(OMS)は、社用車やタクシーから配送バンや大型運搬トラックまで、運転者と同乗員をモニタすることによって、安全性と説明責任を強固なものにします。結果として、今や多岐に及ぶカメラが市場に出回っており、多くのモータリストや企業のニーズに応えています。そのため、多様な高信頼性イメージセンサが幅広く求められています。
アフターマーケット向け車載イメージセンサに求められる独自要件
イメージセンサは、特にダッシュカム、ドライバ・モニタリング・システム、同乗者モニタリングシステムなど、今日の車両インテリアにおいて重要な役割を果たします。これらのカメラは、できるだけ簡素な仕組みで高品質の映像を撮影することに重点を置いて、消費者にアピールしています。
アフターマーケットのカメラシステムにとって、信頼性が重要であることに変わりはありませんが、車両アーキテクチャの外部に存在するデバイスに対しては、自動車認定とそれに伴う複雑な構造は必要ありません。その代わりに、アフターマーケットアプリケーション用のイメージセンサには、シンプルな統合、コスト効率の高い設計、さまざまな条件下での高品質な出力が求められます。オンセミは、このようなアフターマーケットの要求に応える理想的なソリューションでありながら、交通安全を推進し、運転体験を向上させる各種Hyperlux™イメージセンサファミリを提供しています。
Hyperlux LH:ダッシュボードカメラの機能向上
ダッシュカムは、多様な照明条件において、鮮明で信頼性の高い映像を撮影できる適応性を備えていなければなりません。低照度シーンでは、余分なノイズなしにデータをキャプチャするイメージセンサの能力が求められます。同様に、ハイダイナミックレンジのシーン、例えば夕日や対向車のヘッドライトが暗い背景を照らしているようなシーンでは、センサが処理しなければならない最も暗い部分と最も明るい部分の間に、際立ったコントラストが存在します。
オンセミのHyperlux LHファミリは、このような要求を満たすために特別に設計されており、最大120 dBの先進三重露光組み込みハイダイナミックレンジ(eHDR)を提供します。これには高度で柔軟性の高い露出比制御が含まれており、卓越したビデオ画質を提供するだけでなく、リニアモードとeHDRモードの両方で画像をキャプチャする機能も備わっています。
ダッシュカムにとって、安全、法的目的、個人使用のいずれにおいても、ディテールを記録するために、照明条件に関係なく画像の鮮明さを維持できることが極めて重要です。Hyperlux LHファミリのeHDR機能は、まぶしい太陽光から日陰のトンネルや街頭のLED照明の下に移動する際に露出レベルを動的に調整します。この機能は、センサの効果的なLEDフリッカ緩和機能と組み合わせることによって、露出オーバー、陰影部における重要なディテールの消失、LED照明のフリッカを防止します。
オンセミの高性能Hyperlux LHセンサは、HDR機能に加えて、優れた低照度性能も備えています。積層裏面照射型(BSI)CMOS技術と2.0 µmのピクセルサイズにより、低照度および近赤外(NIR)波長で卓越した性能を発揮し、夜間に道路標識や歩行者、他の車両などのディテールも鮮明に映し出します。
Hyperlux LHファミリには、4Kビデオを毎秒60フレーム(fps)でサポートするアクティブピクセルアレイを搭載したAR0822 8MPなどのセンサが含まれます。この高解像度のため、あらゆるディテールが鮮明にキャプチャされ、また高速フレームレートによって高速シーンでも滑らかな動画が撮影されます。さらに、AR0246 2MPセンサは、低コストの画像信号処理(ISP)をサポートし、優れた画像品質を実現するために、適応型ローカルトーンマッピング(ALTM)を搭載しています。性能面では、Hyperlux LHファミリは、シンプルな統合、正確な画像表現、低電力動作を提供し、幅広いダッシュカムの製造を推進するように設計されています。
Hyperlux SG:先進のドライバ・モニタリング・システム(DMS)による運転者の安全性向上
一部の車両には工場出荷時にDMSが装備されていますが、市場に出回っている大半の自動車やトラックにはこのような機能はありません。その結果、車室内の安全性を高める費用対効果の高い手段として、特にフリートマネジメントの分野でアフターマーケット・ソリューションが人気を集めています。これらのシステムは、運転者と車内の同乗員を積極的に記録およびモニタすることで防護策を追加します。
DMSカメラは、敏感に反応するイメージセンサを利用して、運転者の頭の動き、視線、表情などの挙動を正確に追跡し、注意散漫や眠気の兆候を検出します。このような状況を特定すると、システムは警告音を発して運転者に注意を喚起し、事故を未然に防ぐことができます。
オンセミのAR0145 1MPおよび AR0235 2.3MPセンサは、Hyperlux SGファミリのメンバーであり、DMSアプリケーション向けの一般的な選択肢です。これらのセンサは、動きのあるシーンを鮮明に撮影するために最適化された革新的なグローバルシャッタ・ピクセル設計を採用しており、厳しい照明条件下でも鮮明でノイズの少ない画像を生成します。DMSアプリケーションでは、この機能により、眠気の重要な指標である目の動きなどの微妙な動きを検出することができます。カメラ設計者にとって、オンセミの製品は、自動露出制御、ウィンドウイング、行スキップモード、列スキップモード、ピクセルビニング、ビデオおよびシングルフレームモードなどの高度なカメラモードを搭載したイメージセンサによる包括的なソリューションを提供します。
Hyperlux LP:同乗者モニタリングシステム(OMS)による車室内の安全性向上
アフターマーケットのOMSカメラは、マシンビジョン・アルゴリズムで支持されたイメージセンサを使用して、車室内の大人、子供、無生物を含む物体を検出して分類します。薄暗い車室内でも正確に検出できるように通常、カメラはIRカットでカラーからモノラルに切り替わります。しかし、移動中にIRカットは容易に破損します。この問題を克服するために、OMSカメラにはRGB-IRイメージセンサが幅広く使用されています。RGB-IRセンサの主な利点は、昼間から夜間への切り替えに使用される通常のカメラでは、IRカットを排除できることです。
この要求に応えるため、オンセミのHyperlux LPシリーズ(AR0544 5MPおよび AR0830 8MPセンサを含む)は、夜間でも卓越した画質を持つRGB-IRバリエーションを提供します。これらのセンサは1.4µm BSIピクセル構成を特徴としており、低照度および近赤外(NIR)領域で優れた機能を提供し、同乗者の存在、位置、わずかな動きなどの特徴を識別することができます。これにより、明るい昼間から薄暗い夜間の車内灯まで、異なる照明条件下でも一貫したモニタが可能です。これらの機能はすべて、運転者と同乗者のために高度に調整された安全な環境を作り出すことに貢献し、ニーズに合わせた車室内機能を提供します。
アフターマーケットカメラは、道路の安全性を大幅に向上する可能性のある簡単なアップグレードですが、正しく動作させるには、オンセミの製品のように特化したイメージセンサが必要です。オンセミの Hyperluxイメージセンサファミリは、eHDR、RGB-IR、最大 4K 解像度などの高度な機能を備えており、エンジニアは照明条件に関係なく、優れた鮮明度を提供するエネルギー効率の高いアフターマーケット車載カメラを開発することができます。
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