March 07, 2021

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ワイドバンドギャップ技術が従来および新興のパワーエレクトロニクス・アプリケーションの分野へ浸透し続ける中、半導体企業は異常なペースで製品を開発しています。中には、既に数世代の技術を発表した企業もあります。オン・セミコンダクターは、実証済みのシリコンカーバイド(SiC) MOSFETデバイス性能と最高クラスの顧客サポートにより、この分野のトップ企業の1つに数えられています。たとえば、最近オン・セミコンダクターは、 650ボルト(V) SiC MOSFETの投入により、ワイドバンドギャップ(WBG)デバイスの品揃えを拡張し、以前はサービスが不十分であったパワーバンドにおいて効率性向上の新たなチャンスを生み出しています。このブログでは、2021年の市場傾向および主要な半導体メーカーの努力によりOEM企業がどのような恩恵を得られるかに関して議論します。

 

>QSiCや窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体が主流となりつつあり、電気自動車(EV5G基地局など高成長のアプリケーション分野との関わりが大きくなっています。しかし、従来のシリコンベースのMOSFETはコスト面の利点があり、今でも大半のアプリケーションで使用されています。2021年、第3世代半導体の材料において、どのような傾向が生まれると思いますか?

A: SiCおよびGaNは、従来のシリコンデバイスよりも高い効率性または電力密度を必要とするアプリケーションへ拡大し続けるでしょう。コストの差を考えると、当面、ワイドバンドギャップ(WBG)デバイスは、全体的なシステムコストを削減できる場合に主に使用されるでしょう。これは、たとえば、冷却システムが不要になること、あるいは受動デバイスのサイズとコストを削減することにより達成できます。このような削減が可能になるのは、WBGデバイスで使用されるスイッチング周波数がより高いためです。短期的には、技術を組み合わせたソリューションを期待できます。たとえば、インバータは、従来のシリコンIGBTとSiCダイオードを組み合わせることで、全面的にSiCへ移行するより低いシステム価格を実現すると同時に、効率性と信頼性を向上できます。

 

Q 5G時代のSiC MOSFETにおいて、どのようなアプリケーションに新たなチャンスがありますか? このアプリケーション分野で使用されるSiC MOSFET の数は、大幅に増加すると思いますか?

A: 5Gは、速度が4G LTEの20倍に達する見込みです。より高速で稼働するためには、より多くの電力を扱い、より優れた熱効率によりハードウェアの過熱を防ぎ、電力効率において最適化されたデバイスが必要です。これらの新たなプラットフォームの性能目標は、SiC MOSFETの長所と完璧に一致します。というのは、SiCは、特に過酷な環境での稼働に最適だからです。このような長所により、SiCは、クラウドサービスおよびAIの導入において重要な役割を果たすでしょう。このようなアプリケーションで需要は拡大しており、より高い電力密度のニーズは、設計技術者の主な重点分野の1つとなっています。

 


 

Qオン・セミコンダクターの市場優位性は何ですか?その優位性は、今年発表された製品にどのように関連していますか?

A: オン・セミコンダクターは、社内のサプライチェーン、製造の専門性、実績があり照明されたベスト価格でのSiC MOSFETデバイス性能、高い評価を受けている顧客サポートなど、多くの面で市場優位性を有しています。オン・セミコンダクターは、世界のパワー半導体業界の第2位に位置し、お客様と密接な関係を保つことにより、そのシステム設計で重要な役割を果たしています。また、当社は、900 V MOSFETおよび1200V SiC MOSFETファミリも拡大しています。2021年には 650 V SiC MOSFET技術を発表し、その立ち上げに向けて早期のエンジニアリング段階でお客様と協力しています。当社は、技術を発表した後には、生産能力の拡大に注力しており、お客様が必要とする短いリードタイムに対応できるように態勢をつくります。当社は、車載トラクションインバータオンボード充電EV充電、太陽光発電、ソーラインバータサーバー電源ユニット(PSU)、テレコム、無停電電源装置(UPS)なっど、さまざまなアプリケーションにおいて、お客様との協力を続けています。また、プロ用オーディオ、プロ用照明、医療、パワーツール、家電機器、補助モータ等々へのWBG技術の応用も積極的に進めています。

 

Qオン・セミコンダクターの製品は、EVで使用されていますか?自動車メーカとの協働プロジェクトはありますか?ある場合、どのような段階ですか?

A: はい。現在、当社のSiC MOSFETおよびSiCダイオードは、現在EVで使用されています。また、世界のあらゆる地域において、自動車OEMと複数の協働プロジェクトを進めています。その段階は、生産、認証、評価、開発までさまざまです。さらに当社は、お客様にさまざまなEVリファレンス・デザインを提供しています。

 


 

Q製品 650 V SiC MOSFET市場優位性は何ですか?

A:車載グレード AECQ101、および工業グレード認証済の新製品 650 V SiC MOSFETは、斬新なセル設計と先進の薄型ウェハ技術を組み合わせて、絶縁破壊電圧 650 Vのデバイス向けに最高クラスの性能指数Rsp(Rdson×面積)を実現しています。NVBG015N065SC1NTBG015N065SC1NVH4L015N065SC1NTH4L015N065SC1は、D2PAK7LおよびTo247パッケージに封止されており、デバイス市場で最小の RDSON (12mΩ) を提供します。この技術は、エネルギー損失の性能指数に関して最適化されており、自動車および産業用アプリケーションにおける性能を最適化します。内部ゲート抵抗(RG)により設計の柔軟性が増し、デバイスを外付けのゲート抵抗を使って人為的に遅くする必要がなくなります。より高いサージ電圧、アバランシェ能力、短絡回路の堅牢性向上により、信頼性の向上と長期間のデバイス寿命を実現します。

 


 

Qシリコン(Si)、SiC、およびGaNの次のステップは何ですか?継続的に置き換えられていきますか?

A: WBGデバイス(SiCおよびGaN)は、将来、パワーエレクトロニクス分野で重要な役割を果たします。これらの技術は、材料の物理的特性により、以前は不可能であったデバイスを生み出しています。そのため、SiC MOSFETは、過去50年間かけて完成し、さらに改善が続けられています。オン・セミコンダクターの次のステップは、特定のアプリケーションにおける技術のカスタマイズです。お客様の次のステップは、考えられる限界を押し広げ、これらの最先端のデバイスを活用して目標とする結果を実現することです。

 

Q: 今後23年でSiCおよびGaNの最も有望な市場は何ですか?

A: 当社は、SiCのマーケットシェアは、車載トラクションインバータ分野での急成長とともに、、工業用パワーおよびエネルギー生成アプリケーションにおいて着実に拡大すると期待しています。GaNは、現在、電力密度が重要な設計目標である消費者向け電源などのアプリケーションにおいて大規模に採用される兆候が表れています。GaNは、より要求の厳しい他のアプリケーションに適用できますが、当社は、今後約3年間、SiCと同じ採用レベルには達しないと考えています。

 

QSiC MOSFETの開発に関わる業界の課題は何ですか? また、オン・セミコンダクターの戦略は何ですか?

A: 現在、SiCの回路基板の開発は最大のボトルネックとなっており、オン・セミコンダクターを含む半導体メーカーは、この解決に注力しています。SiCの回路基板は、従来のシリコンとは大きく異なります。生産、使用機器、プロセス、取り扱い方法、カット方法など、それに関わるものすべてがSiC専用に開発されています。オン・セミコンダクターは、欠陥密度を減らすために、この開発に多大な研究開発を投じ、コスト構造を改善してきました。このような努力により、お客様の SiC MOSFETの採用が加速化してきました。他のボトルネックとして、エピタキシャル成長、製造工程、パッケージングなどがありますが、それだけではありません。サプライチェーンの各段階に固有の技術的な課題があり、日々解決されています。

 

Q: 新型コロナ感染症(COVID-19) は、SiCの原材料の供給、および半導体メーカーのSiC MOSFETの設計、製造、供給能力にどのような影響を与えていますか?

A: 各原材料の供給は、今回のパンデミックの下、細かく監視されています。オン・セミコンダクターは、供給の継続性および素早い対応を保証できます。というのは、複数の承認済みの調達先を確保しているからです。当社は、社内外の複数の拠点で製品を認定する専門チームを設置することにより、SiC の製造が1カ所の障害で悪影響を受けないように対処しています。